Japanese
English
論説
乳癌手術後の上腕リンパ浮腫
Postmastectomy Lymphedema
島田 信勝
1
,
天晶 武雄
1
,
阪口 周吉
1
,
馬場 正三
1
,
吉崎 聰
1
Nobukatsu SHIMADA
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
1Department of Surgery Keio University School of Medicine
pp.473-478
発行日 1963年4月20日
Published Date 1963/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203060
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緒言
乳癌手術にさいして外科医にとつて最も患わしい合併症の一つに術後の上腕浮腫がある.一般的に四肢のリンパ浮腫は炎症のものを除けば, Ⅰ.特発性のものとしてCongenital(Simpleおよびfamiliar),Preacox, Forme tarde. Ⅱ.二次性のものとしてリンパ節,リンパ管のNeoplasmaによる侵害,リンパ節あるいはリンパ管の外科的またはレントゲン的障害.に分類することが出来よう.
乳癌根治手術後の患側上腕の浮腫は,術後数日ないし数週で現われる二次性のリンパ浮腫で,外科的に腋窩リンパ節およびリンパ管を脂肪織と共に取り去ることによつて惹起されるものと,数週ないし数年を経て現われるものに大別される.後者にはレントゲンまたは60Co照射による場合と癌の転移再発による場合とがある.また術後3ないし4週を経て有痛性の浮腫が現われることがあるが,これは副腎皮質ホルモン使用による影響と見做しているものもある.上腕のリンパ浮腫を来たすと浮腫の程度によつて上腕さらには前腕,手背にまで至る高度の変型や,緊満感,運動障害を招く.この場合自然消褪を期待することは不可能で,かかる高度の浮腫には乳癌の再発を特に考慮にいれねばならない.Halstedは再発でない高度のリンパ浮腫に対して"Elephantiasis chirurg-ica"なる名称を与えた.
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