特集 産婦人科手術と隣接臓器の諸問題
大血管,リンパ系
野嶽 幸雄
1
,
栗原 操寿
1
,
筒井 章夫
1
,
島田 信勝
2
,
阪口 周吉
2
,
馬場 正三
2
Yukio Notake
1
,
Nobukatsu Shimada
2
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
2慶応義塾大学医学部外科教室
pp.109-115
発行日 1967年2月10日
Published Date 1967/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203641
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〔産婦人科の立場から〕
I. 血管損傷に対する心がまえ
脈管系を中心に,外科と産婦人科の両領域にまたがる重要課題は,新しい血管外科学であろう。手術操作に無謀な大膽さはつつしみたい。しかし血管の損傷をおそれるあまり,結紮してはならない血管になるべく近づくことを避けるだけでは,広汎摘除,ことにリンパ節廓清の徹底は期しえない。この消極性をすて,血管剥離をはじめ,結紮や切断の基礎手技に加え,近代的な血管修復の基本手技を習得して,大血管損傷の偶発事故に備えねばならない。メスに徹するかぎり,中途半端な手術操作はいましめられねばならない。必要あらば,腫瘍の癒着する大血管にいつでも敢然と立向う積極性を秘めてこそ,手術は冷静沈着にはこばれるであろう。
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