Japanese
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特集 外科と内分泌・2
乳腺腫瘍と性染色質—特に乳癌との関係
Sex-Chromatin and Breast Tumor (Especially Relation to Mammary Carcinoma)
島田 信勝
1
,
天晶 武雄
1
,
恩田 英明
1
Nobukatsu SHIMADA
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
pp.157-166
発行日 1965年2月20日
Published Date 1965/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203532
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Ⅰ.性染色質の概念
哺乳動物の雌の細胞核内に核膜に密着して平凸の濃染性の染色質がみられる.このものは神経細胞では0.7ないし1.5μの大きさをもち,雄の細胞核内には全くないわけではない.しかしながら,雌に比すればはるかに少なく,雌の場合でもいろいろの臓器によつてその出現率は多少の動揺を示すが,その最下域は雄の最上域よりもはるかに高い.このものは中性白血球でも核に接して証明され,組織細胞では核膜に密着したもの以外に核小体に接着したものや,核膜と核小体の中間に存在するものもある.その数は1個の核内に1個とは限らず2個認めることもあるが,数個存在することはない.性染色質の算定は通常500〜1000個の細胞核にたいする陽性性染色質をもつ核数を算術計算し,%を求める方式がとられている.このためには核内に核小体の存在を確めることが前提条件で,核の大きさと性染色質の大きさにはかなりの差があり,そのために組織切片の厚さいかんによつては性染色質の発見率も変つてくるのは当然のことである.このことはJames19)も認めており,性染色質算定に当つては,可及的同じ厚さの組織片によらねばならないことも前提条件の一つに入るわけである.また細胞核内には他の染色質が多いので,核膜壁在性の性染色質のみを計算することが望ましい.
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