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特集 癌手術例の検討
乳癌のリンパ節転移と術後遠隔成績
Survival rate of the breast cancer related to the metastases of lymph node
島田 信勝
1
,
石井 良治
1
,
天晶 武雄
1
,
吉崎 聰
1
,
中川 自夫
1
,
榎本 耕治
1
Nobukatsu SHIMADA
1
1慶応義塾大学医学部外科
pp.1029-1032
発行日 1965年8月20日
Published Date 1965/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203699
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乳癌は胃癌等と異なり,表面より腫瘤の触知が可能であり,しかも大部分の乳癌は腫瘤形成を初発症状とするので,患者が注意深く観察しておれば,その発見は必ずしも困難ではない.もちろん時には腫瘤の存在が判然としないこともあるが,異常分泌をしたりあるいは疼痛等なんらかの訴えがあるものであり,また最近は通俗雑誌や新聞,ラジオ,テレビ等でかなり本疾患の常識も宣伝されているので,往年のごとく巨大な腫瘤,潰瘍または多数のリンパ節転移を認める症例ははるかに減少した感がある.本症の術後遠隔成績については度々教室の成績を報告してきたが,この10数年来かなり改善の傾向がある.今回本誌の需めに応じ,昭和39年までの10年間の成績を中心に述べることにする.
慶大外科教室において施行しつつある手術法に二つの方法のあることも御承知のことと思うが,念のため略述する.すなわちその一つはHalsted法であり,他の一つは臨床的にSteinthalのⅠ,Ⅱ度と思われるもので,腫瘤が大胸筋あるいはその筋膜に癒着していない場合には,筋膜は切除するが大小両胸筋は切除しない方針をとつている.ただし腋窩リンパ節廓清は十分行なうこともちろんであり,また通常はその必要性は殆んどないがリンパ節廓清に胸筋切除を必要とする場合はそれを行なうこともあるが極めて稀である.なお術後はいずれも1週内外の早期より放射線療法を実施している(臨床と研究,41巻,11号,2075頁,昭39).
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