特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅰ)
噴門部粘膜裂傷による大量出血
綾部 正大
1
,
村上 明
1
1鳥取大学医学部
pp.477-481
発行日 1962年6月20日
Published Date 1962/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202903
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大量消化管出血は種々の原因によつて惹起されることは,従来の文献にしばしば記載されているところである.大量の吐血を主訴として,顔面蒼白で全身状態の著しく不良な患者が私共臨床家のもとにかつぎ込まれることはそんなに珍しいことではない.このような場合にどのような処置をするかということは,患者が重体なだけになかなか難かしいことが多い.出血源の探究よりも先ず大量出血によるショックの対策が優先することが多く,救命のためには直ちに手術を敢行しなければならなくなることも多い.従つて開腹によつて初めて出血源が判明し,これに対して適切な処置が咄嵯の判断で施されねばならない場合がある.
このために私共は平素から消化管出血(勿論出血のみに限らないが)の原因をよく知り,これに対する対策をよく研究してその知識を自分のものにして,上述のような咄嵯の判断においても誤りのないように努力しなければならない.
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