一頁講座
胃内視鏡検査と粘膜裂傷
竹本 忠良
1
1東京女子医科大学消化器病センター
pp.808
発行日 1971年5月10日
Published Date 1971/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111679
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患者の十分な協力が得られない状態で強引な内視鏡の挿入を試みれば今日の進歩した胃ファイバースコープ,胃カメラでも食物入口部,下部食道の粘膜損傷,稀には穿孔をおこしうることはよく知られている.
アングルのついた胃内視鏡ではスコープ先端を咽頭後壁にぶちあててこの部の粘膜を傷つけることは非常に稀となったように思う.しかし,食道入口部ではどうであろうか.以前,各種の胃内視鏡の検査は,入口部を詳細に調べてみたいと思って多少仕事を進めたことがあるが,幸いそれほど挿入技術がまずい人がないせいもあってデーターとしてまとまらないまま放っている.最近の内視鏡では極めて稀とはいえ,時に食道入口部損傷の話もでてくる.常に注意して挿入することが必要なのは,直達鏡でみながら通過させるのと違って抵抗感に頼る以上当然のことであろう.挿入にてこずった場合には粘膜の裂創ぐらいできているのではないかと考えて処置をしておくぐらいの用心深さがほしい.
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