Japanese
English
外科の焦点
早期胃癌の新しい問題点について
The newest problem on the diagnosis of the early stomach cancer
村上 忠重
1
,
岩波 英雄
1
,
安井 昭
1
,
渡辺 博
1
,
崔 相羽
1
Tadashige MURAKAMI
1
1昭和医科大学外科
pp.321-330
発行日 1962年5月20日
Published Date 1962/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202884
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胃癌を動物の胃に作る実験は未だ十分成功していない.そこで胃癌の発生のメカニズムを知ろうとするには,人の胃の切除標本にたよるより他に方法がない.
ところが胃癌は初期の間は特有の症状を表わさない.胃症状が表われてから切除した胃にみられるものは,多くは進行した胃癌で,初期の胃癌というにはほど遠いものが多い.私どもが初期の胃癌の組織像を研究した材料は,誇張していうならば,ほとんど全て誤診によるものとさえいうことができる.その一番多い場合は胃潰瘍ないしはポリープの誤診である.もちろんこのような場合を厳密な意味での誤診と名づけるのは,いささか酷であろう.しかし,いずれにせよ,初期の胃癌の組織像を得ようとすれば,すなわち初期の潰瘍癌,もしくはポリープ癌を探がそうとすると,潰瘍もしくはポリープの標本を詳しく調べるのがもつとも有効な方法であつた.
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