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シヨックの冠・末梢血行,他
pp.73-79
発行日 1962年1月20日
Published Date 1962/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202852
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イヌを用い麻酔下に股動脈から採血して血圧30mmHgとする.開胸し,右鎖骨下動脈にカニューレを入れ,圧測定,採血に用いる.心膜をひらき,冠洞が右房に入るところで縫いつけ,右房アッペからカテBardic No.12を洞へ送り,血流量の測定に用いる.シヨック期には冠洞血流量は激減し,血圧30mmHgでは正常の54%となる.股静脈血流量は正常の45%.冠動脈の末梢抵抗は正常の53%となるから,その代償性拡張がおこるとおもわれる.総末梢抵抗は正常の102%で,末梢血管収縮がおこることはいうまでもないが,高度ではない.直ちに輸血し70〜80 mmHgのとき,冠洞血流量は正常の86%,冠抵抗は95%である.つまり血圧70〜80mmHgまでは冠血管拡張はおこらない.つぎに不可逆相をつくつてから採血量の血液を輸血したnormovolemic hyp-otensionでは冠血流量92%,冠抵抗60%で,冠血管拡張が著明である.末梢血流量は94%,末梢抵抗は81%.ノルアド静注の効果は,はじめの輸血のさいには冠血流238%,抵抗40%である.つぎの輸血(不可逆相normovolemic hypotention)では冠血流147%,抵抗41%.つまり,出血でhypovolemiaがあるときは冠血流を著明に増加しうる.これは末梢血管収縮・心送血量増加にもよるのであろうが,冠血管拡張が大きい意味をもつ.
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