Japanese
English
綜説
肺癌の診断と治療
Diagnosis and treatment of Pulmonary Carlinoma
須賀井 忠男
1
Tadao SUGAI
1
1横浜市大医学部第一外科
1Dept. of First surgery School of Medicine Yokomama City Univ.
pp.888-892
発行日 1960年11月20日
Published Date 1960/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202667
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肺癌の分類と特徴
癌年齢といわれる50歳台の患者が咳,血痰,胸痛,換気異常を訴えてきたとすれば一応は胸部X線写真を撮るのが普通である.そこで異常陰影があれば医師はその解像能力に応じていろいろな判断を下すが中には見逃されてしまう場合もある.もし癌を疑わずに他の疾患と考えると対象療法,抗生剤による化学療法が行なわれるのでかなりの日時を費すことになる.肺癌を取扱つた臨床諸家の症例に対するこの間の事情を調べてみると大体のところ患者が訴をもつて診断を受けるまでに4カ月,医師が確診を下すまでに4カ月を費している.肺癌の進展速度はその経過を通じて遅速がありOverholtのいうlatent phase,silent phaseはかなり長い期間があると考えねばならない.原発肺癌の根治療法が肺の切除に期待されている現在症状がsilentでもX線像の有所見者ではできるだけ早く確診せねばならない.そのためにはX線写真以外の補助診断法も粗にはできない.肺に発生する原発巣が気管支であるという観点から気管支癌という言葉が用いられてきたが症例を増すに従つて末梢に位する肺胞道からもまた気管,大気管支粘液腺からも発生する特殊な形態をもつたものが含まれてくるし,更には胎生的に違つた構成成分から発生して肉腫との区別がつきかねるような組織像をもつたものもあるので肺に原発した癌という意味から肺癌というようになつてきている.
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