Japanese
English
薬剤
骨折治療時に於けるA.T.P.の使用経験
On the use of Adenosine triphosphat during treatment of fracture
大塚 哲也
1
,
林 瑞庭
1
,
笹井 義男
1
,
淸家 隆介
1
,
牧野 文雄
1
,
宮武 正弘
1
,
古庵 雄三
1
,
田村 哲男
1
Tetsuya OTSUKA
1
,
Zuite HAYASHI
1
,
Yoshio SASAI
1
,
Ryusuke SEIKE
1
,
Fumio MAKINO
1
,
Masahiro MIYATAKE
1
,
Yuzo KOAN
1
,
Tetsuo TAMURA
1
1厚生年金玉造整形外科病院
pp.401-406
発行日 1959年4月20日
Published Date 1959/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202373
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1緒言
Adenosine triphosphate(A.T.P.)は1929年Lohmann1),Fiske2)等に依つて発見された物質で,高エネルギー燐酸結合体として注目される様になつた.平山氏3)等はA.T.P.は生体内に於て,1)エネルギーの出納に関与する.2)燐酸供与体として各種の補酵素を介して糖質,脂肪,蛋白代謝等に関与する.3)その他生体内の合成分解過程に関与する等の役割を果しているものと考えられると述べている.又A.T.P.は筋肉自体に対しても筋力回復,筋肉収縮力増強に働くと言われ,その作用の機序はA.T.P.が直接筋の機械的エネルギー源となり,又筋肉内の燐酸代謝系を賦活するのであろうと推論されている.是等筋力回復或は筋肉収縮力増強等に関する使用に就いては既に進行性筋萎縮症,脊髄性小児麻痺,その他種々の麻痺性疾患等に使用されて,その有効性が認められている4)5)6)7)8)9).
さて整形外科領域に於ては骨折の治療に接する機会は極めて多いが,骨折治療の経過中に筋萎縮を来し,又これと同時に骨折部の隣接関節の拘縮を起す等の為,その後療法に当つては特に頭を痛めるのである.我々はA.T.P.の筋力回復,筋力収縮力増強等の作用に注目し,骨折治療時にA.T.P.を使用した所,良好な結果を得たので報告する.
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