文献抄録
尿路ことに腎の非開放性損傷について
pp.472
発行日 1988年5月20日
Published Date 1988/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204756
- 有料閲覧
- 文献概要
著者らは1983年3月から1984年5月までに,救急センターで506名の非開放性外傷例を経験した。外傷の原因は自動車事故84%,暴力外傷9%,落下事故7%で,患者の77%は男性であった。患者は該セーターに収容と同時に,一般的全身検査,尿検査を行い,収縮期血圧が90mmHg以下の者は,ショック状態と判定した。尿路損傷の疑われる患者については,上部・下部の損傷に応じて,IVP, cystogram, CT,動脈撮影,RP,症例によっては開腹により腎損傷の程度を検索した。腎については,挫傷,裂傷(小裂傷,大裂傷),血管損傷の3段階に分類した。すべての患者は4ないし6週間経過を観察し,血圧.尿の検査を行った。
検索結果についてみると,506例中尿路の損傷は25名で,尿路損傷の部位と程度は腎挫傷7名,腎裂傷7名(大1名,小6名),腎動脈損傷1名,膀胱破裂8名,尿道損傷2名であった。25名中ショック状態と診断されたのは9名(36%),下部尿路損傷を含めて高度血尿例は21名(84%)であった。506例の損傷者中,ショックがなく顕微鏡血尿を示したのは365名で,このうち,腎損傷については3名の腎裂傷があった。この3名はいずれも開腹治療の必要はなく姑息的処置で治癒した。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.