Japanese
English
綜説
特発性脱疽の治療ことに温泉治療について
Balneotherapy of Peripheral Vascular Disease
遠藤 信夫
1
,
岡崎 洋一郞
2
,
星 哲郞
3
,
亀卦川 滋
3
Nobuo ENDO
1
,
Yoichiro OKAZAKI
2
,
Tetsuro HOSHI
3
1東北大学
2東北大学鳴子分院外科
3国立鳴子病院外科
1Tohoku University
2Surgical Dept., Narugo-Branch of Tohoku University Hospital
3Surgical Dept., Nargo National Hospital
pp.503-510
発行日 1955年8月20日
Published Date 1955/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201653
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緒言
特発性脱疽は御承知のように,そんなに頻繁に遭遇するものではないが比較的厄介な疾患で,従来の主な治療法は腹部交感神経手術である.筆者の一人遠藤が東北大学鳴子分院(温泉研究所的性格をおびた小病院)に着任して間もなく脱疽患者が一人来た.腹部交感神経節索切除術を受けたが一時一寸よかつただけで約3年に亘り拇趾潰瘍が治癒しない.前に鳴子で同じ病気の人がなおつたと言う話しを聞いたので来て見たというのである.こちらは着任早々で温泉なるものがいかなるものか解る筈でないし,手術で解決しないものが温泉などに入つたからとて到底癒る訳がないと考えたが,温泉治療を希望しておる患者である以上ほつたらかしてもおけないので,その頃出来たばかりの温泉電気浴(温泉浴中に電流を通す)に一応入れて見た.心中効果のある筈がないとたかをくつておつたことは勿論である.だが不思議なことに日毎によくなるのである.とうとう1ヵ月位で潰瘍も冷感も間歇性跋行も治癒してしまつた.患者の喜び以上にこちらが驚いた.こんな筈はない.きつと治癒期にあつたもので別に温泉に入らなくてもよくなつた例であろうと考えた.だが次に来た脱疸患者も同様順調に治癒したので,どうも何かありそうだ,少し試べて見ようと言う事になつた.
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