Japanese
English
症例
昇汞中毒の人工腎臓による1治験例
A case of mercuric chloride poisning treated with the artifical kidney.
真鍋 圭一
1
,
丹後 淳平
1
,
西沢 康男
1
,
芦田 敬治
1
,
河野 通弘
1
,
西村 菊夫
1
,
松浦 一
1
,
林 久博
1
,
志村 保雄
1
Manabe Keiichi
1
,
Tango Junpei
1
,
Nishizawa Yasuo
1
,
Ashida Keizi
1
,
Kōno Michihiro
1
,
Nishimura Kikuo
1
,
Mastuura Hazime
1
,
Hayashi Hisahiro
1
,
Shimura Yasuo
1
1群馬大学 渋沢外科
1Department of Surgery, Gunma University School of Medicine.
pp.219-224
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200735
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
自殺の目的でしばしば昇汞が用いられるが,昇汞服用後24時間以内にショックで死亡することがある。幸いショックにならなかつたり,またショック期を脱しえても,腎臓が高度に傷害されるいわゆる昇汞腎として乏尿,あるいは無尿となり,尿毒症に陥り,通常5〜10病日に死亡するといわれている。昇汞の作用機転として,昇汞は蛋白と結合沈澱するが,この昇汞アルブミナートは過剰の蛋白,食塩に溶解するので,痂皮を作らず,深く広汎に局所を腐蝕し,胃壁から吸収されて毒性を発揮する。さらに腎にはtubulotoxic necrosisを惹起することが良く知られている。わが国における昇汞中毒の報告は六十数例あるが,救いえた例は11例で,甚だ少いものである。
最近われわれは昇汞中毒による無尿に,人工腎臓を応用して救いえた1例を経験した。さらに腎機能について追跡したので報告し,実験的にも昇汞腎について,機能的形態学的に検索をこころみたので,あわせて述べてみたい。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.