Japanese
English
綜説
ナフチオニンの止血効果に関する実験的研究(第1報)—動物実験
The experimental studies on the haemostatic effect of "Naphthionin." (Ⅰst Report) Tests on animals
渡辺 正二
1
,
若山 正夫
1
,
越智 康雄
1
Masatsugu WATANABE
1
,
Masao WAKAYAMA
1
,
Yasuo OTI
1
1北海道大学医学部第二外科教室
1The 2nd Surgical Department, Faculty of Medicine, Hokkaido University
pp.479-483
発行日 1957年6月20日
Published Date 1957/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202002
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緒言
最近,凝血過程に関する研究は,飛躍的な発展をなした.即ちMorawitzやFuldらが示した.所謂古典的凝血説に,近年Collingwood Mac Mahonらによつて,新しい学説が附加され,凝固反応に与える主因子の役割もある程度釈明され,同時に数多くの止血剤が発見され応用されるに至つた.
Wedekindらは,コンゴーロートが,網内系を刺戟する事により,フィブリノーゲン及び,グロブリン量を増加し,血液の凝固時間及び出血時間を短縮し,止血作用のある事を認めたが,効果が不確実のために次第に使用されなくなつた.Esteve,Langer(1949)らは,コンゴーロートと構造の類似している.α-Naphthalene-azo-β-naphthol-6-8-disulfonic acidを製し,止血作用のある事を認めたが,使用後一時的ではあるがヘパリン様作用を認めた.次に両氏はこの分子の一構成分たる,α-naphthyl-amine-4-sulfonic acidに強力な止血作用があり,且つヘパリン様作用のないことを認めた.之が1950年,スイスのOm研究所にて合成され,爾後西欧諸国,中南米にて広く賞用され,本邦にては鳥居薬品株式会社が,同研究所と技術提携して,ナフチオニンの出現となつたものである.本剤は次の如き構造式をもつ.我々は,本剤の提供をうけたので,動物実験を行い,次の如き結果を得たので報告する.
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