Japanese
English
綜説
胸腔内操作に伴う反射障碍防止について
On the Prevention of Reflex Obstruction in the Intrathoratic Surgery
脇坂 順一
1
,
猪口 嚞三
1
Jun-ichi WAKIZAKA
1
1久留米大学医学部脇坂外科教室
1Dep. of Wakizaka Surgery, Kurume University School of Medicine
pp.301-311
発行日 1957年4月20日
Published Date 1957/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201966
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
第二次世界大戦前後より長足な進歩を遂げた麻酔学の裏付けにより,元来,難治性のものと看做されていた,心,肺,食道疾患等の胸部外科領域も比較的手術操作の容易なものとなり,新な発展の段階を辿りつゝある.現状である然しながら,胸腔内操作の機会が増加するに伴い,術中の急激な血圧降下や重篤な呼吸循環障碍或は稀に,心動停止さえも招いた症例の報告も亦,同時に数多くみられる様になつた1-7).これは誠に遺憾に耐えない問題であり,多くの人々によつて注視され,その発生機転及び予防法についての研究がなされている.その結果,重要な原因として,術中の大量出血及び換気不全に伴うHypoxia或は心臓の様な重要臓器への機械的刺戟等が挙げられているが,その他,胸腔内操作に伴い易い反射性因子によるものと解釈されているものも多く,この内の一つとしてVago-vagal reflexが提唱されており,Weeks2),Gullickson8)その他によつて多くの臨床例が報告されている.
抑々Vago-vagal reflex症候群とは一過性のものであり,容易に恢復するため,臨床上,等閑視され勝ちのものであるが,種々の悪条件が重なる場合にほ重篤な呼吸循環障碍或は心動停止さえも招来するものである.
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.