Japanese
English
綜説
所謂Banti氏病の剔脾後遠隔成績に就て—特に術後出血の吟味
The remote result of splenectomy in so-called Banti's disease
友田 正信
1
,
市吉 親夫
1
Masanobu TOMODA
1
,
Chikao ICHIYOSHI
1
1九州大学医学部第二外科
12nd Surgical Clinic, Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.69-75
発行日 1955年2月20日
Published Date 1955/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201566
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私の教室の前身である後藤外科教室では,古くより所謂バンチー氏病の外科的研究が行われ多数の手術例があつた.昭和5年福地がBanti氏病としてその18例に就いて,更に岡崎,大塚等も其後の症例を追加し遠隔成績に就いて報告した.
当時は勿論門脈圧亢進症と云う問題に就いては一般に深く注意する処がなかつたし,手術前食道静脈瘤に就いてX線検査をしたり,又食道鏡検査を行つたりはしていなかつたし,又手術中も門脈圧の測定も行つていないから,此の時代の症例に於いて門脈圧亢進の実態は不明であるが,次にも申述べる様に少くとも脾の病理組織学的所見からすれば私どもが今日脾性中毒症と云つているものに似ている.従つて後者の場合其の手術時門脈圧を測定した結果から推察すると,後藤外科で所謂バンチー氏病として取扱われていた症例も門脈圧亢進を示していた例と考えられる.私共は唯今脾性中毒症例の摘脾後食道静脈瘤出血がどの位あるかと云う点に就いて再検討を加えているので,その研究の一端として後藤外科時代の所謂バンチー氏病手術例に就いても同様の研究を行い,門脈圧亢進症の研究に一資料を加え度いと考えて本調査を試みた次第である.
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