Japanese
English
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Banti氏病なる診斷に對する反省
Retrospection of the Diagnosis on Banti's Disease
光野 孝雄
1,2
Takao MITSUNO
1,2
1九州大学医学部第二外科教室大学院
2九州大学大学院
1Medical Dept., Kyusyu Univ.
pp.403-405
発行日 1949年8月20日
Published Date 1949/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200498
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Bantiが巨脾症兼肝硬変なる一疾患を独立疾患として初めて発表記載したのは1894年で,其の後本症はBanti氏病と呼ばれる樣になつた。本症は現在欧米に於ては極めて稀な疾患とせられ,Banti氏病なる診断を附する者は殆どないのに反し,独り我國に於ては相当の報告があり,且つ余等も從来屡々本病名の診断を附けていた。然し最近教室に於ける嚴密批判的な余の病理組織学的檢索の結果,Bantiの記載に全く則應すべきものは欧米と同樣日本に於ても亦稀有の疾患であることを思わしめる樣になつた。即ち,從耒日本に於けるBanti氏病なる診断は科学的に根拠の少いものであつたものと推定せられるので,從耒の如く無雜作にかゝる診断を附することに対して余等等しく反省すべきものと思惟し,浅才敢えて一文を草した次第で,諸賢の御賛同を得れば幸甚と考えうるものである。
先づBantiが記載したRanti氏病理の大要を述べると,「脾臟では脾髄に其の主な変化,即ちFibroadenieが見られる。赤色髄のFibroadenieは広汎且つ瀰蔓性にあるが,淋巴濾胞では同一脾でも正常のもの,軽度変化のもの,更にFidroa—denieになつたもの等各種の段階のものがあり,濾胞のFibroadenieは動脈周辺より起り,肝臟は第2,第3期に至ればLaennec氏萎縮性肝硬変症と同じ変化を示して耒る」とある。
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