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論説
門脈圧亢進症に対する剔脾—脾—腎静脈吻合との遠隔成績の比較検討による剔脾の適応
Clinical study of spleno-renal shunt and splenectomy for portal hypertension
青木 春夫
1
,
船曳 孝彦
1
,
角本 陽一郎
1
,
羽鳥 俊郎
1
Haruo AOKI
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
pp.1597-1606
発行日 1971年10月20日
Published Date 1971/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205455
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門脈圧亢進症では約50〜80%ときわめて高率に食道静脈瘤を認め,出血の頻度も約30〜50%と高い1-4).門脈圧亢進症の中でもとくに肝硬変症の予後はRatnoff and Patek5)など多くの報告があるが6-7),初回吐血の死亡率はOrloff8)の1,000例以上の集計では65.3%ときわめて高く(第1表),吐血1年後の生存率も20〜30%にすぎない4-7)11)13).そこで門脈圧亢進症における食道静脈瘤出血の予防,治療は外科医にとつて重要な課題となつていて,多くの手術術式による努力が行なわれている.
わが国の門脈圧亢進症に対する治療は,減圧効果がすぐれていることから門脈系—下大静脈系吻合による減圧手術が一時期盛んに推奨され,行なわれていたが,遠隔成績上肝硬変症に対しては術後脳症の発現率が高いことから,肝硬変症に対する門脈—下大静脈端側および側々吻合には批判的となり4)14-17),最近数年前からは肝硬変症に対しては経胸的食道離断術,近位胃切除術など,門脈圧を減じないで食道静脈瘤への血行遮断を目的とした術式を推奨しているものもある18)19).
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