Japanese
English
綜説
無菌的手術創の化膿に就て—皮下組織内細菌学的檢索
About the Suppuration of the Aseptic Operation-Wound (About the Pathogenic Bacteria under the Skin-tissue)
武山 仁
1
Shinobu TAKEYAMA
1
1仙臺鐡道病院外科
1Sendai Railway Hospital
pp.342-345
発行日 1952年7月20日
Published Date 1952/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201053
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完全な消毒の下に於て行われた無菌的手術創の化膿は,屡々起る現象ではないが,細心の注意と相当の確信を以て行つた無菌的手術創が化膿する事は,肉芽組織の瘢痕治癒による創の醜形と,創化膿による患者の心的不安を加えて外科医にとり不快な現象である.此の原因には種々ある因子が伏在して起る結果であろう.即ち縫合糸並に器械の殺菌の不充分な事.術者,介者の手指消毒の不完全な事.手術創異物の挿入による場合.胃腸吻合又は切除等に際し汚染した部分の取扱の不注意.或は患者の体質によるものか,季節的に夏期の手術は化膿し易いとか,之等の何れかにより化膿を来す事は文献の示す所である.更に文献的に考察を加うるに無菌的手術創化膿の頻度は第1表に示す如く大体10%内外である.余の病院外科に於ける過去3年間の統計に於ても,その頻度は無菌的手術841例中創化膿98例,10.5%にして大体諸家の報告に一致する.然して最近化学療法の発達に伴い,無菌的手術創の化膿はペニシリンの全身的及び局所的應用により膿瘍形成率は非常に低下したる事は確実なるも,時に完全無菌的と考えられる症例にペニシリン使用にも拘ず創の化膿を見,又胃腸管に手術的操作を加えた症例に大腸菌発育阻止剤(ホモスルファミン)併用のペニシリン應用にも拘ず更に屡々創の化膿を見る.
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