研究報告
フォスファターゼの組織化學的檢査法に就て
淸水 信夫
1
,
有薗 初夫
2
1和歌山縣立醫科大學 解剖学教室
2和歌山縣立醫科大學 衞生學教室
pp.198-203
発行日 1950年1月15日
Published Date 1950/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905488
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緒言
1939年高松及びGomoriがアルカリ性フォスファターゼ(以下フと略稱す)の,更に1941年Gomoaiが酸性フの組織化學的檢出法を發表して以來,その優秀さとフの新陳代謝に於ける重要性との爲に本法による各種臓器の正常又は病的所見或は實驗成績が陸續として表われ,歐米に於ては組織化學的方法がフ研究の重要な一部門となり,他面沈滞していた組織化學が新な活動への刺戟を與えられたかに見られる。
Gomori及び高松に始まる劃期的な組織化學的方法の本質は酵素その物を見るのでなく,それに依る反應生成物を可視物質に變化移行せしめて之を顯微鏡下に認識するにある。即基質として用いられた燐酸エステルはフに依り分解され遊離した燐酸はCa‥又はPb‥と結合して不溶性の燐酸鹽となりフの位置に沈澱する。之をその後の操作に依り可視的にするのであるが本法に依つて臓器の如何なる組織に酵素作用が發現するかを知るは勿論細胞中に於ける分布に至る迄之を鏡下に追跡し得るのである。然し標本作製に必然的に伴う酵素に對する化學的乃至物理的影響等に依り良好な成績を得ること必ずしも容易でなく,誤れる結論に陥る危險なしとしない。爲に原法に續いて多數の研究者に依り改良が試みられ酵素の損耗及びその局在の變移を可及的に少なからしむる如き努力がなされた。
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