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Haxthausen培地試用による膿皮症の病原菌檢索
松本 芽
1
1東北大學醫學部皮膚科教室
pp.135-137
発行日 1951年3月1日
Published Date 1951/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200481
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膿皮症の病原菌檢索に於て問題となる事は血液寒天では連鎖状球菌(以下連菌と略す)が葡萄状球菌(以下葡菌と略)の過度の發育のため其の存在を覆われる場合がある點で,連菌のみを選擇的に培養するため種々の方法が講ぜられている。Haxthausenはクリスタルビオレツト(以下K.Vと略)に葡菌發育抑制作用がある事に注目し液体培地として1/1000000乃至1/200000にK.Vを加えた1%%葡菌糖ブイヨンを,固形培地として1/200000乃至1/50000K.V10%人血加2%寒天を使用して連菌の選擇培養に成功した。本邦に於て膿皮症の檢索にこの培地を應用した報告としては村本氏及川村,笹川兩氏の夫があるが余も亦膿皮症184例に就き1/100000K.V(内21例は1/50000K.V)10%牛血液1%葡萄糖寒天に普通寒天を,更に中62例は血液寒天を併用し病原菌檢査を行つた結果を報告する。培養に用いた膿は殆んど全部完全な膿疱或は穿刺又は切開直後に得た膿を用い,既に破潰せる膿疱は成可く避け痂皮下からは全く採取しなかつた。(第1表參照)
なお余の培養に於ては葡菌,連菌の他屡々肥饒菌が培養された。本菌は連鎖状に並び,不注意に見ると連菌と誤られる虞があるが連菌よりやや大であり聚落は連菌のそれより固く又普通寒天にも生える點で鑑別される。
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