外科と生理
その7
須田 勇
1
Isamu SUDA
1
1慶應義塾大學醫學部生理學教室
1Physiology, Keio-Gijuku Univ. Medical School
pp.590-592
発行日 1951年12月20日
Published Date 1951/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200945
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4.肺循環
4:1循環系の一般原理
原則1 循環系は閉鎖系で何処にも血液の停滯はない.系は左心→体循環→右心→肺循環→左心で一環をなし,一般臓器はこの環に対し左心と右心との間に並列に挿入されているが,肺はこれと異り環に対して直列に入つているから,肺循環の分時血流量は体循環のそれに等しい.從つて肺循環の変化は臓器循環の障害のみに止らず,循環系全体へ影響を及ぼすものである.
原則2 血流速度iは平均動脈血圧Pmに比例する.その比例常数Rが末梢血管での血流に対する抵抗である.即ちPm=iR……(1)併し,血液の粘性を考慮すれば(1)はPm-P′=iRと補正を行う必要があるが,P′は正常血液成分では20mmHg程度で,P′=Oと見做しても(1)式は充分実用となる.又,Vsを博出量,Tを博動時間とすれば,i=Vs/Tであるから,毎秒博出量をVtとすれば,R=Pm/Vt……(2)で與えられる.尚,抵抗と血管の形態の間にはR=8μl/πr2……(3)(μ=粘度係数,l=長さ,r=内径なる関係が成立している.
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