最近の外国外科
胃組織内膵臓の診断学的形態,他
W. H. Benner
pp.595-597
発行日 1951年12月20日
Published Date 1951/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200947
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著者は3年間に観察した5例の胃組織内迷入膵臓に就て報告をしている.この5例中の2例は外科手術で発見され,他の3例は剖檢の際に偶然に発見されたものである。この病変は胃粘膜の僞性憩室の形態を取り,その粘膜層内によく分化した膵臓組織及び膵管様構造を以て存在するのが見られる.一般普通に見られる形態は粘膜の丘状隆起であるが,それは又直径1〜5mmの孔を有している.その孔は粘膜によつて連続的の円周状の或は舌状の突起を以て囲まれている.この開孔は小嚢或はポケット状の陥凹部に通じている.この僞憩室の深さは0.5〜1cmであつて,大約粘膜と粘膜下組織との境界線まで達している.この小嚢状形態物の下にある粘膜下組織中には膵臓組織が見出される.この様な胃粘膜の僞憩室には必ず膵臓組織が随伴している.この肉眼的形態所見は胃の迷入膵臓を認識する場合に非常に重要なことである.その理由はこれが屡々惡性腫瘍と誤認されて不必要な胃の大手術が施されることがあるからである.迷入膵臓は屡々一生涯を通じて何等の症状を起さずに存在し得るが,時としては幽門或は腸管の閉塞を起す場合もあり得る.又本来の膵臓を侵す凡ての疾患は矢張この膵臓組織を侵す可能性がある.(Surgery. 29:p. 170. Feb. 1951)
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