外科と生理
その3
須田 勇
1
Isamu SUDA
1
1慶應大學醫學部生理學教室
1Keio-Gijuku Univ., Dept. of Physiology
pp.336-338
発行日 1951年7月20日
Published Date 1951/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200854
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1:3形態学的可能性に対する機能的制約
A.呼吸運動の型を決める因子
形態学的には肋骨を上に挙げる筋は前に述べたように沢山あるが,実際に普通の安靜呼吸で働作電流が認められるものは少い.これは呼吸中枢からの興奮が脊髄から末梢の運動神経へ傳達される所に閾があることを示唆する.一般に最も閾の低いのはi)外肋間筋,内肋間筋軟骨部,横隔膜を支配する神経で,これについで ii)斜角筋,後上鋸筋等の肋骨上挙筋,iii)内肋間筋骨質部の支配神経である.(Gessel, R.:Am. Jour. Physiol. 115,168;116,228.1936).これらの閾値の順位の組合せは個人によつて異り,それが各人の呼吸の型を決定するととになる訳である.
又,中枢からの神経衝撃が異常に多くなると,閾の高い普通なら呼吸運動には関與しない筋にも(例えば,鼻翼筋,顔面筋,咀嚼筋)運動が現われ,更に窒息のような場合には四肢筋にも運動が現われてくる.
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