Japanese
English
結核
結核性腹膜炎の治療
Therapy of the Tuberculous Peritonitis
北本 治
1
,
福原 德光
1
Osamu KITAMOTO
1
,
Norimitsu FUKUHARA
1
1東京大學醫學部冲中内科
1Medical Dept. of Tokyo Univ.
pp.41-44
発行日 1950年1月20日
Published Date 1950/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200582
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I 緒言
結核性腹膜炎の治療に関しては,過去に於て内科的治療或は外科的侵襲に就き数々の業蹟が発表せられ議論されて來たが,内科医は一般的結核治療及対症療法に終始し外科医は外科療法を称用した傾向にあつてその治療成績の統計を見るとまちまちである. 今回,「臨床外科」特集で結核性腹膜炎に就て,書けとの編輯者の依頼であるが,我々はその外科的療法については多くを知らない. 併し辞退することが出來ないので,茲では,内科的治療の最近の変遷,特にストレプトマイシン出現による内科的治療範囲の拡大状況を述べ,何時外科的療法を行うかの判断に対する一つの参考に供して責を塞ぐこととする.
結核性腹膜炎は我々が日常遭遇する慢性腹膜炎の中で最も多く見るものであり又,結核屍の病理解剖の統計が示す如く腹膜は肺臓,腸管に次で屡々犯されるものである. Hertzlerに依れば,全例の10%に腹膜結核が存在する。そして此の腹膜の結核性病変は隣接臓器の結核より,或は他の病巣より血行性に,或は淋巴道を介しての傅搬に由來するものでそのうち腸結核より來る場合が最も多い. 我々は,結核性腹膜炎の治療を開始するに当り常に此の発生経路を考え,又常に他臓器の結核の有無或はその程度を念頭においておく必要がある.
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