--------------------
電心圖によるシヨックの實驗的研究
杉原 榮一
1
1名古屋大學醫學部桐原外科教室
pp.408-411
発行日 1948年10月20日
Published Date 1948/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200376
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1612年Peter Loweにより命名されたるシヨックは,今日まで重要なる研究題目として先進諸家のあらゆる角度よりなされたる觀察と實驗の報告は各種の説を生み,或は甲論或は乙駁して興味津々たるものあり,現在に至るも猶決定的なる説を見出し得ない状況にある。電心圖の臨牀的應用價値の認めらるゝに及び,之を以てシヨックの解明をも企てるのは自然の務であつて,既に多數の報告を見るが,各種シヨックを比較考察せるは廖々たるものである。
抑々外傷性シヨックの本態に關する古來の説を見るに,自家中毒説・ヒスタミン中毒説・局所液體滲出説・神經刺戟説等が有力であり,當教室の業績は中毒説を以て説明せんとし,血壓下降機轉は主として肺循環障碍によるものとしてゐる。余は外傷性シヨックとして止血帶解除によるシヨックを選び,ペプトン・ヒスタミン等の血管毒によるシヨック,腹部叩打による神經性シヨック,全く機械的に循環血液量を減少する起立性シヨック等との相違を電心圖により實驗的に比較檢討を試み,いさゝか興味ある所見を得たので諸賢の御批判を仰がんとする。實驗には總べて家兎を使用し,麻醉は用ひない。
Copyright © 1948, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.