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こゝで問題にする反射とは骨格筋にその效果が現れる所謂動物性反射である。即ち何等かの方法で誘起された求心性インパルスによつて前柱細胞が放電活動を起してその支配下にある骨格筋に收縮を起させる場合とか放電活動に變化を起して筋の緊張状態を變化させる場合とか,或は前柱細胞に放電活動を起さないが少くともそのexcitatory stateを變化させて潜在的な效果を及ぼす場合等を對象にしている。
これらの反射は從來主として次のような方法によつて研究されてきた。即ち(i)姿態の外觀的の變化を反射效果の指標にする方法(9,24,25),(ii)關節を介して筋を伸張させてその際に手に感ずる抵抗の大小を指標にする主觀的方法(9),(iii)筋の收縮または緊張の變化を機械的に記録する方法(2,6,7,),(iv)筋の伸張抵抗を機械的に記録する所謂伸張抵抗測定法(13)等である。これらのうちで(ii)の方法は主觀的判斷によるもので科學的な方法とはいえないが,その他の方法はいづれも客觀性をもつたものであつて,從來この方法によつて研究された多くの業蹟が報告されている。しかしこれらの業蹟の殆んどすべては,去腦動物や神經系障碍者にみられるように反射效果が可成り著しい場合について得られたものであつて,輕度な神經系障碍者や健康成人等に現れる極めて微弱な潜在性の反射に對しては上述の諸方法は殆んど無力であるといつてよい。またこれらの方法では體または四肢全體に現れる反射の效果は分るが,反射の發現に關與する個々の筋の態度については殆んど知ることが出來ない。更にまたすべての場合について反射效果の現れ方を量的に正確に測定することが可能であるとはいえない。
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