報告
和紙による電氣泳動法の實驗
入澤 宏
1
,
入澤 彩
1
Hiroshi IRISAWA
1
1廣島大學醫學部生理學教室
1Department of Phsiology, Faculty of Medicine, Hiroshima University
pp.140-143
発行日 1953年12月15日
Published Date 1953/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905753
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濾紙電氣泳動法は器具が簡便な上に,操作が單純であり,而も試料が極めて小量で足りるため,Turba and Enenkel8),Durrum2),Cremer and Tiselius1)以來多くの研究があらわれた3)4)6)。然し使用する濾紙により泳動の結果を異にする事は當然考えられる事で,Cremer等1)に依れば,試みた15種類の濾紙の中で僅か2種類(Munktell, No. 22, Whatman. No 1)が使用に耐えたのみであつたと云う。
又緩衝液に就いてもDurrum2)は燐酸緩衝液では分離が惡く,Veronal緩衝液を推奨して居る處である。更にこの事はFlynn and de Mayo3)も認めて居る。これらの他,裝置上の種々の點に就いては,小林5),佐藤7)等が詳細な檢討を行つて居る。私達は此の方法に關心を持ち,從來の研究者の追試を行つて居たが,濾紙以外の紙が蛋白輸送の媒質となり得るか否かに就いて檢討した結果,極めて入手の容易な和紙(糊入奉書紙)が使用できる事を知つたので,これを機會に私達の行つている方法を略述して報告する事とする。
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