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脊椎カリエスの豫後判定に就て
河村 謙二
1
,
岩佐 祐
1
1京都府立醫科大學外科教室
pp.52-54
発行日 1947年9月20日
Published Date 1947/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200242
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脊椎カリエスの豫後判定は他の骨關節結核の場合のそれよりも一層困難である。それは罹患脊椎體及びその附近の骨のレ線影像が他の關節部位よりも複雜な爲に,骨質の病的段階の判定に簡單な標識が見出し難く,且その判讀には深く且豐富な經驗を必要とするからである。更に又脊椎の受ける負荷が他の骨關節よりも大きく,而も之に對する免荷,安靜の條件が常に不滿足となり易い。從つて臨牀上にも,病理學的にも治癒過程に對する外界の影響が甚だ大である爲に,容易に病的機轉の動揺,治癒の遷延を來し易い爲と考へられる。
然し日常我々の加へる本疾患に對する療法が,局所に對しては免荷,安靜,固定の原則であつても,その絶對的な滿足にはギブス牀臥床を必要とすることとなる。そこでこの状態の長期に渉る繼續が果してどんな病状,どんな時期に迄絶對的に必要であるかは,常に考へて居らねばならないことである。不必要な長期の臥床は出來る丈け避けねばならないし,時期を誤つた離床は又病機を轉惡するものであらう。又加療の始めに當つても,本病に對してはその程度如何に拘はらず固定,安靜の目的は達せしめるとしても,何れもにギブス牀臥牀を絶對的とする方が良いかどうかは疑問となり,又實際上これの守れない程度のものに對しては却つて惡化の機會を與へることになるから,適當の病症に應じた療法を決定してその方針を立て. 經過に從つて按配してやる必要がある。
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