増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル
Ⅳ 術中・術後合併症とその管理
4.精神・神経系
嚥下障害
唐帆 健浩
1
,
甲能 直幸
1
Takehiro KARAHO
1
,
Naoyuki KOHNO
1
1杏林大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.297-299
発行日 2014年10月22日
Published Date 2014/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200061
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最近の知見と重要ポイント
□術後の合併症として,手術操作による嚥下関与筋や神経のダメージだけでなく,長期禁食,長期気管挿管,高侵襲手術後の全身状態の悪化などが要因となり,嚥下障害を生じることがある.
□頭頸部腫瘍術後のみならず,胸部外科や腹部外科後にも嚥下障害は生じうる.
□術前からすでに嚥下障害のある患者が,全身麻酔下に手術を受けることで,嚥下障害がより高度になる可能性がある.
□高齢者は潜在的な嚥下機能低下があり,これに侵襲性の高い手術を実施することで,嚥下障害が顕在化することがある.
□一般人口に占める高齢者の割合が増加して超高齢社会を迎え,より高齢で併存症の多い患者への手術件数が増えていくことで,術後の嚥下障害は今後増加していくと予想される.
□特に高齢者においては,術後の嚥下機能低下の可能性を念頭に置いて経口摂取開始時には細心の注意を払うとともに,周術期の口腔ケアや早期嚥下リハビリテーションの介入を考慮したい.
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