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特集 ディベート★消化器・一般外科手術―選ぶのはどっちだ!
一般外科手術
テーマ7◆鼠径ヘルニアに対するアプローチ
鼠径ヘルニアに対するアプローチ:「腹腔鏡下」の立場から
Treatment for an inguinal hernia from laparoscopic surgery
早川 哲史
1
Tetsushi HAYAKAWA
1
1刈谷豊田総合病院外科
pp.205-210
発行日 2014年2月20日
Published Date 2014/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104953
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腹腔鏡法と前方切開法との数多くの無作為化比較試験やメタアナリシスによると,腹腔鏡法の手術時間は長いが,術後疼痛が軽度で血腫・神経損傷・慢性疼痛が少ないなどの報告や,入院期間が短い,回復が早い,社会復帰・仕事復帰が早いなどの点で評価されている.腹腔鏡法のTAPP法は腹腔内から特殊なヘルニアや複雑なヘルニア門の状態が正確に把握できる利点があり,細径ポートサイト手術では術後疼痛は非常に少なく,傷跡もほとんど残らない.腹腔鏡法の最大の利点は,高精細なハイビジョンモニターで鼠径部の重要な膜構造や解剖を腹腔側より正確に確認し,必要な層を温存しながらmyopectineal orifice全体を確実に補強できる点である.膜構造を必要十分に温存することで無意味な出血や術後急性・慢性疼痛が少なくなり,正確な解剖学的認識に基づく再発の少ない手術が行える.術後運動制限をほとんど必要としないことから,社会貢献できる術式と考える.映像を通した精緻な手術を若手外科医に教育できることは大きな利点であり,前方切開法の理解も一段と深まると思われる.
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