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特集 ディベート★消化器・一般外科手術―選ぶのはどっちだ!
一般外科手術
テーマ7◆鼠径ヘルニアに対するアプローチ
鼠径ヘルニアに対するアプローチ:「鼠径法」の立場から
An open anterior approach to inguinal hernia repair
伊藤 契
1
Kei ITO
1
1NTT東日本関東病院外科
pp.200-204
発行日 2014年2月20日
Published Date 2014/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104952
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成人鼠径部ヘルニアに対する術式としては,前方アプローチによる鼠径法を選択する.第1選択:通常の還納可能な症例は大小を問わず,局所麻酔下・鼠径法・腹膜前腔修復(ヘルニア門のサイズにより変更あり).第2選択:還納不可能ないしは嵌頓緊急症例は,腰椎麻酔下ないし全身麻酔下・鼠径法・腹膜前腔修復(状況により変更あり).第3選択:再発還納可能症例は,局所麻酔下・鼠径法・腹膜前腔を意識した修復.ただし,どの場合も高度肥満などのときは,全身麻酔下での鼠径法を考慮する.
そのメリットは,①すべての鼠径部ヘルニアの,どのような状況に対しても対処可能である.②ヘルニアの状況を把握して,全体像を把握した解剖学的アプローチが可能である.③近年の高齢患者,有リスク患者の増加を考えると,鼠径法かつ局所麻酔下の根治手術は低侵襲である.④医療コスト面でのパフォーマンスに優れる.
鼠径法のデメリットは特にないと言える.詳細な膜構造の解剖を云々する議論はあるが,全身麻酔を要する腹腔鏡下手術は,決して低侵襲とは言い切れない.鼠径法は,習得すべき基本術式であり,かつ最終的解決法である.
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