特集 リビングウィルを考える
尊厳死のあり方―リビングウィルの法制化
岩尾 總一郎
1
1一般社団法人日本尊厳死協会
キーワード:
尊厳死
,
リビングウィル
,
事前指示書
,
終末期医療
,
延命措置
Keyword:
尊厳死
,
リビングウィル
,
事前指示書
,
終末期医療
,
延命措置
pp.270-274
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102494
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尊厳死とは,不治かつ末期の病態になった時,自分の意思により無意味な延命措置を中止して自然の摂理に経過を任せ,人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることである.自然死や満足死,平穏死と同義で,積極的な方法で死期を早める安楽死とは根本的に異なる.(社)日本尊厳死協会(以下,当協会)は,終末期の医療について意識のある間に自分の意思を表し,医療機関が受け入れることのできる「尊厳死の宣言書」(リビング・ウイル)を発行・登録管理している(表1).2012年末現在,約12万5000人が会員登録している.
医療者に自分の意思を伝える「リビングウィル」のような事前指示書は,世界の多くの国々で法制化されている.米国では「Advance Directive」として州法に位置づけられており,人口の約41%,1億人以上が所持している.日本では法制化されていないため,まだまだ所持率が低い.当協会は,終末期医療における自己決定権を確立すること,すなわち,本人の意思に基づいて延命措置の中止を容認し,リビングウィルに従って医師が延命措置を中止しても免責される「尊厳死法」の制定を求めている.
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