増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル
Ⅲ 術式別の術前・術中・術後管理
2.胃
噴門側胃切除術
山下 裕玄
1
,
瀬戸 泰之
1
Hiroharu YAMASHITA
1
1東京大学医学部附属病院胃食道外科
pp.112-114
発行日 2014年10月22日
Published Date 2014/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200005
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最近の知見と重要ポイント
□噴門側胃切除術(PG)は,胃上部(U領域)の早期癌を対象とした縮小手術の位置づけであるが,全国胃癌登録の結果に基づくと胃切除全体の4〜5%に選択されている術式である.
□PGは,U領域の腫瘍で1/2以上の胃を温存できる場合に適応を考慮してよい.
□PG後の再建法は,簡便な食道胃吻合,逆流性食道炎の予防を目的とした空腸間置,ダブルトラクト法などがあるが,一定見解はなく至適再建法については継続的な課題である.
□再建法にかかわらず,経口摂取開始時期は幽門側胃切除や胃全摘と同様であり,特別に対応を変更することはない.
□近年増加傾向にある食道胃接合部癌では,#4,5,6への転移頻度が極めて低く,予防的郭清の治療効果も低いことがわかっており,進行癌であっても胃全摘が必ずしも必要がないことが明らかとなってきた.これまでU領域の早期胃癌に施行してきた本術式を食道胃接合部癌に適応できる可能性があり,本術式の選択が増加する可能性がある.
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