胃癌手術のロジック―発生・解剖・そして郭清・7
腸間膜化mesenterization―~制約克服のための理論的手法
篠原 尚
1
,
春田 周宇介
1
1虎の門病院消化器外科
pp.576-585
発行日 2013年5月20日
Published Date 2013/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104574
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48 本連載第1回の冒頭で,筆者は“固有腸間膜全切除”こそが最も理にかなったリンパ郭清の手段であると述べた.しかし第3回では,「担癌臓器の固有腸間膜が胎生5週頃のような単純なヒダ構造を保持していればよいが,胃の場合は主たる腸間膜である背側胃間膜(大網)に生じた“ねじれと癒合”がリンパ郭清の制約となる」ことに気づき,Langmanのメッセージを解読しながらその三次元的形態変化の発端となった胎生期のイベント,胃回旋と腸回転を追ってここまできた.その結果,D2の郭清が課せられるリンパ領域は下図aからbに示すような位置に配置転換することがわかった.図bを見た読者の皆さんも,今では胃の周りに潜んでいる「姿を変えた腸間膜」を透見しておられることだろう.
さて問題は,胃癌リンパ郭清につきまとう,この制約をどう乗り越えるかである.
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