特集 InsufficiencyとFailure (呼吸・循環機能を中心とした概念について)
各臓器の立場から
腸間膜動脈
太田 怜
1
1自衛隊中央病院内科
pp.33-34
発行日 1969年1月15日
Published Date 1969/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201981
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Ⅰ.語感によるinsufficiencyと failureの区別
本来,この両者に本質的な差はない。しかし,しいてこの2つの言葉を区別するとすれば,前者がsufficie—ncyに対するそれであり,後者がsuccessの反対語であろうというような,語感の一寸したニュアンスの差に頼るしかないであろう。すなわち,前者は,まったく悪いというわけではないが不十分であるという意味であるのに対して,後者は,どうにもならないといった感じには受けとれそうである。
これを,mesenteric artery腸間膜動脈の血行障害に,そのままあてはめれば,mesenteric insufficiencyは不完全な血行障害であり,mesenteric failureといえば,完全な血行障害ということになる。すなわち,前者は,動脈の狭窄や,たとえ完全閉塞であっても側副路により,血行は不完全ながら保たれ,腸管粘膜は組織変化をうけていないか,あったとしても浮腫や潰瘍のある状態であり,後者は,血栓や栓塞による完全閉塞で,その支配域は硬塞におちいった状態をさすことになる。
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