特集 外科医のための癌診療データ
臓器別最新データ
12.小児がん
小児がん
上野 滋
1
,
平川 均
1
,
平林 健
1
,
鄭 英里
1
Shigeru UENO
1
1東海大学医学部外科学系小児外科学
pp.313-327
発行日 2012年10月22日
Published Date 2012/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104336
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覚えておきたいデータ
◆疫学に関する最新のデータ:2005年に日本小児がん学会(現 日本小児血液・がん学会)が「小児がん全数把握登録事業」を開始し,年平均888例の固形悪性腫瘍の登録がある.2003年まで行われていた神経芽腫マススクリニーングの休止によって神経芽腫登録症例は著しく減少したが,進行例は減少していない.
◆診断治療に関する最新のデータ:小児固形がんの診断治療法改善のため,多施設共同臨床研究が続けられている.各研究グループでは予後リスクを判定して治療内容を決める層別化が進んだが,臨床試験への参加適格性の判定と,治療層別化のための中央病理診断体制が整った.制吐剤や中心静脈カテーテルによる栄養管理といった支持療法の発達,患児の療養生活のQOLを高めるトータル・ケアの考え方が浸透したが,小児がん経験者における晩期障害の克服や社会活動の支援が課題となっている.2008年には小児固形がんの安定した効率的な研究体制の構築のため,小児固形がん臨床試験共同機構が設立され,腫瘍の種類にかかわりなく,診断,治療,臨床研究が遂行できる体制作りが進んでいる.
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