書評
高橋 孝(著)/荒井邦佳(執筆協力)「胃癌外科の歴史」
山口 俊晴
1
1がん研有明病院・消化器センター・消化器外科
pp.1407
発行日 2011年10月20日
Published Date 2011/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103769
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高橋孝先生が「臨床外科」誌に連載されていた『胃癌外科の歴史』が,このたび荒井先生の努力で見事に単行本として発刊されたことは,この連載を愛読していた筆者にとっても大きな喜びである.高橋先生を大腸の外科解剖の大家としてご存じの方も多いかと思うが,本書を一読すれば,高橋先生の胃外科,解剖に対する並々ならぬ情熱と,知識の深さを容易に理解できる.
わが国における癌手術の確立に,癌研附属病院の梶谷鐶先生が最も重要な役割を果たしたことは紛れもない事実である.その元になる思想がどのように形成されてきたのであろうか.本書をひもとくことで,ビルロート,ミュックリッツ,三宅速先生から,梶谷先生の師である久留勝先生とつながる,胃癌リンパ節転移への「まなざし」こそが梶谷先生の偉業の礎になったものであることがよく理解できる.
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