昨日の患者
お遍路さん
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.1325
発行日 2010年9月20日
Published Date 2010/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103200
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- 文献概要
病で身体が蝕まれていても,精神力で病に打ち勝つことがときにある.特に強い意志があると,通常は不可能なことでも実現できることがある.
60歳代のOさんは5年前に直腸癌で手術を受けた.その後,癌再発をきたして化学療法を行った.一時的には改善したが,しかし癌性腹膜炎をきたして再入院した.癌性疼痛に対して,モルヒネを使用した.また,経口摂取ができないため,中心静脈栄養を行った.さらに,局所再発による狭窄に対してはステントを留置した.癌再発を自覚しながらも,生来前向きなOさんは病室でも明るく振る舞った.また,疼痛や嘔吐に苦しみながらも写経に勤しんだ.
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