昨日の患者
患者さんの「その後」
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.1126
発行日 2013年9月20日
Published Date 2013/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104732
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- 文献概要
外科医は自分が手術した患者さんの「その後」が気になるものである.特に癌患者さんでは,術後何年経過しても関心がある.疎遠となっていた患者さんの「その後」を,兄思いの妹が手紙で伝えてきた.
「先生がいまだ仙台赤十字病院で働いていると信じて書いています」から始まる,詳細に綴られた手紙をいただいた.「6年前,胆囊を摘出していただいたMの妹です.生来健康な兄が激痛に襲われ,緊急手術を受けることになり大変心配しました.しかも摘出した胆囊から術後に癌が見つかり,先生から連絡をいただいて兄と一緒に説明を受けました.兄は勧められた追加手術を頑として拒否し,単に抗癌剤を内服しました.術後経過が順調であったこともあり,内服を半年ほどで止め,定期検査も受けませんでした.しかし,手術から5年半後に黄疸が生じ,多発性肝転移を伴う閉塞性黄疸と診断されました.近くの病院でステントを入れ,一時的ながら症状が改善しました.しかし,黄疸が再び生じ,腹水も貯まり4か月後に死亡しました.」
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