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あとがき
桑野 博行
pp.460
発行日 2010年3月20日
Published Date 2010/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103018
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30年前に医学部を卒業して外科医を志した理由の1つに,手術室に入室した際の「張りつめた空気」のなかにある「緊張感」「澄み切った透明な空気」「背筋が伸びる雰囲気」に対する,ある種の親和感および心地よさを感じたことを思い出す.
そこで,ここで少々「空気」というものについて考えてみたい.山本七平氏の『「空気」の研究』(文藝春秋,1977年)は有名である.本書では,空気を読むことが時に集団の意志決定をゆがめ誤らせることが指摘されている.最近では「場の空気」がいわゆる「いじめ」を助長しているとされたり,さらには「空気を読めない」を略して「KY」という言葉が取り上げられたりすることもあった.また,インターネット上のコミュニティにおいても「場の空気」が存在することが指摘されている.
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