特集 できる!縫合・吻合
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
6.肝・胆道
肝動脈再建の手技と術後管理
田邉 稔
1
,
尾原 秀明
1
,
河地 茂行
1
,
篠田 昌弘
1
,
日比 泰造
1
,
下島 直樹
1
,
渕本 康史
1
,
星野 健
1
,
森川 康英
1
,
北川 雄光
1
Minoru TANABE
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.289-294
発行日 2009年10月22日
Published Date 2009/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102821
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はじめに
1989年から現在まで5,000件を超える生体肝移植が国内で施行されており,末期肝疾患患者を救命する有効な治療手段として日常診療に組み込まれた感がある.生体ドナーから提供されるグラフトは,部分肝であるがゆえにグラフト肝動脈が短くその口径はきわめて細い.そのため,肝動脈吻合には特別な手技と熟練を要し,生体肝移植手術のなかで最も注意を払う手技の1つといえる.
術後急性期に肝動脈血栓症が発生した場合,的確な対処が行われなければ,グラフト不全に至る可能性が高くなる.脳死移植が普及せず,再移植が困難なわが国では特に避けなければならない事態であり,本稿では筆者らがこれまで行ってきた肝動脈吻合法とともに,術後の肝動脈血栓症の診断と対処法について触れる.
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