1200字通信・6
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板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.158
発行日 2009年10月22日
Published Date 2009/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102784
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- 文献概要
当院の理事長が以前に県医師会の理事として医事紛争対策委員会の委員をしていた当時のことですが,いくつかの腰椎麻酔での事故を担当したことがありました.委員会として一通りの結論が出たあと,複数の事故に共通した問題が見えてきたと,医局のわれわれにその問題点を教えてくれたのでした.
その共通した問題の1つは,事故を起こした事案のすべてで腰椎麻酔後すぐに手術に取りかかっていたということでした.もっとも,腰椎穿刺後に麻酔薬を注入し,しかるべき体位をとってから執刀を開始するわけですから,麻酔薬注入後5分前後の時間は経過していたようですが,すぐに敷布をかけて術野を見るだけとなり,患者さんの顔が見えない状態では血圧や脈拍のモニターだけが頼りとなります(多くは麻酔医のいない施設でした).手術が開始されると,術者も助手も手術に集中し,患者さんの状態把握が疎かとなり,手術が終わった頃に患者さんの状態がおかしくなっていたということです.
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