外科医局の午後・48
外科医の待遇
岡崎 誠
1
1市立伊丹病院外科
pp.1298
発行日 2008年9月20日
Published Date 2008/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102275
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先週,約半年ぶりに外科系の学会に参加した.最近の全国規模の外科系学会では必ずと言ってよいほど,医療崩壊や,わが国の外科系診療科で医師が不足している現状とその対策がテーマのシンポジウムが開かれている.時期を同じくして厚生労働省から大学医学部の定員増加方針が示された.しかし,今から増やしても実際に効果が出るのは10年後であるし,また増やした医師が外科系に進む保証はまったくない.むしろ,今のままならば,外科に進む医師は増加しないのではないだろうか.一方,これからは団塊の世代と言われた人たち(自分を含む)が癌年齢にさしかかり,胃癌,大腸癌,乳癌をはじめとする手術対象の外科疾患は増加することはあっても減少することはない.ますます外科病棟は忙しくなるばかりである.
私が医師になった頃は若い外科医が多く,みな競って手術症例を奪い合ったものである.大学での研究を終え,また臨床現場に復帰したときは「またこれから手術ができる」と勇んで臨床に復帰したものである.しかし,それから約20年経って現場は一変してしまった.まわりを見渡すと,部長以上の役職を持っている者が常勤医の6割以上を占めるようになり,研修医を含む若い医師は1人しかいない.また,同年代の仲間の多くは開業や転職をした.中堅の医師は疲れ果て,口から出てくるのは愚痴ばかりである.
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