第一線の立場
工場勤務医の待遇改善を
篠田 太郎坊
pp.79
発行日 1968年1月10日
Published Date 1968/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202070
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私は昨年暮れまで工場医をしていたので,私の不満,要求などを述べ,その実状を訴えてみたいと思う。工場医は生命保険医と同じく,卒業後,早く就職すべきである。それはまず就職と同時に課長待遇は受ける。そして従業員たちのあこがれの的であり,自分の子も大きくなつたら医者になそうなどの声を聞く。それはふつうの者は一生かかつても課長になれぬ者が大部分で,なつても大体,35歳を過ぎなければなれないからである。
しかしながら心の底は嫉妬と反抗心に満ちている。病気をした時は頭を低うしてお世辞を言つてくるが,心の中はまつたく反対で,この野郎,年若受して課長待遇なんて,資格もないくせになんて思つている。野蛮な島国根性の日本人の通有性である。欧州に行つてドクターといつたら絶体的に尊敬されるし,米国でもアンケートで医師が一番に尊敬されている。
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