カラーグラフ 外科手術における新しいテクニック―new art in surgery・16
RFAを用いた乳癌手術
尾浦 正二
1
Shoji OURA
1
1和歌山県立医科大学第1外科
pp.905-910
発行日 2008年7月20日
Published Date 2008/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102183
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
癌細胞をメスで1つ残らず切除することが乳癌の根治に必須であるという概念のもとに乳癌治療の教育を受けてきた外科医が乳房温存療法の治療概念を許容するには比較的長時間を要した.しかしながら,原発性乳癌の局所療法として乳房温存手術が最も高頻度に施行されるようになった現在,この概念に異議を唱える臨床医は存在せず,長期成績は存在しないものの,早期乳癌に対する標準的局所治療は乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検に基づく腋窩温存へと変化しつつある.
一方,術前化学療法によって一定の頻度で病理学的完全効果が得られるようになるとともに,マンモグラフィ検診の普及によって超早期乳癌が数多く発見されるようになってきたため,「乳癌を切らずに治す」という治療概念が現実味を帯びつつある.前者のアプローチでは,化学療法にトラスツズマブを併用することでより現実味が増すことが示唆され1),後者のアプローチでは凍結凝固や熱凝固といった,いわゆるnon-surgical ablationの有用性が基礎的・臨床的検討から明らかになりつつある.
本稿では,当科で行っている乳癌に対するラジオ波熱凝固療法(radiofrequency ablation:以下,RFA)の基本的考え方と手技について概説する.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.