外科医局の午後・43
薬害肝炎訴訟に思う
岡崎 誠
1
1市立伊丹病院外科
pp.471
発行日 2008年4月20日
Published Date 2008/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102088
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血液製剤フィブリノゲンを使用したことによる薬害肝炎訴訟が話題になっている.2007年末になって政府がようやく患者一律救済への道筋をつけ,議員立法により全員救済へ動き出した.そして,年が明けた今日(1月8日),衆議院で薬剤性肝炎救済法案が通過した.実際に投与を行ったかもしれない医療機関あるいは医師としては責任を感じずにはおれない.
薬害肝炎は広い意味ではフィブリノゲン投与だけにとどまらず,輸血やFFP,アルブミンやγグロブリンなどの血液製剤,あるいは医療器具などからも医療行為によって広く感染が広がったと推測できる.そう言えば,20数年前,私が研修医であった頃,手術をした患者が術後かなりの高い確率で肝機能が悪化し,そのため,点滴治療によって術後何か月も入院していた患者が多かったように思う.当時は命を救うための手術をしたあとであるから,肝機能が多少悪化するのは止むを得ないという雰囲気があり,また病院としてもそれほど重大事とは受け取っていなかったように思う.
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