外科医局の午後・36
日本ヘルニア研究会に思う
岡崎 誠
1
1市立伊丹病院外科
pp.1450
発行日 2007年10月20日
Published Date 2007/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101875
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今年4月の春の穏やかな日,浜松で第5回日本ヘルニア研究会が開催された.今年から世話人になったので,前日午後の世話人会から出席した.思えば5年前にわが国ではじめてヘルニア研究会が発足した.ヘルニアと言えば一般外科分野では虫垂炎に並んで症例の多い疾患であるが,日本の消化器外科医(一般外科医)の関心は癌が中心であり,ヘルニアはむしろ亜流であった.癌外科医のなかには,あからさまに「ヘルニアごとき」とか「たかがヘルニア」と公言する人もいた.
しかし,ヘルニアという疾患は手術すればするほど奥が深い.私がヘルニアに興味を持ち出したのは,米国を中心とする欧米からメッシュを使用した手術法が日本で広がり始めた1995年くらいであったろうか(欧米か!).勤務先で真っ先に,当時広がり始めたメッシュ・プラグ法を始めた.この手術法を始めてみると,簡便な方法で「これで成人のヘルニア手術は万事解決」と思ったが,ことはそう簡単ではなかった.次々と新しいタイプのメッシュが発売され,そのメッシュを使いこなすためにさらに奥の深い鼠径部の解剖を勉強し,新しい驚きを発見することになった.
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