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あとがき
宮崎 勝
pp.376
発行日 2007年10月22日
Published Date 2007/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101925
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今回の特集は『癌診療に役立つ最新データ2007-2008』というタイトルでお送りした.これは,いわゆるevidence-based-medicine(EBM)を実施するうえで知っておかねばならない癌診療上の最新情報の必須マニュアルに値するものであろう.特に患者さんおよびその家族の方への説明,すなわちインフォームド・コンセントを行っていくうえで欠かせない情報である.また,セカンド・オピニオンを希望する患者さんへのアドバイスにおいても担当医師はこのような最新情報を手元においておくと有用であろう. 癌診療における年々の進歩をつねに多くの領域でフォローするのは忙しい勤務医にとってはなかなか大変なことである.各領域のエキスパートが要領よくまとめてくれるこのようなデータ集は臨床医にとって大変ありがたいものであろう.
ところで,最近は臨床医のあり方がしばしば取り上げられ,総合臨床医的なものがもてはやされているが,臨床医というのはまずは卒後しっかりと全身を診れるような総合医的なトレーニングをしたうえで各領域の専門医になり,さらにそのなかからhigh-volumeで診療するエキスパートも生まれるものである.専門医を目指していく場合にも,卒後早い時期から専門領域のみを研修して短い時間で専門医に到達させるような教育プログラムを組むことが真に適切な専門医を育てるとは考えにくい.総合臨床医と専門医を卒後の早い時期から分けて育成するような方向性も間違ったものであり,不適切な専門医を育成しかねないし,また一方,総合臨床医を目指すものにもよい環境とは言えないであろう.
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