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特集 癌肝転移の治療戦略
大腸癌肝転移に対する遺伝子治療の現状と将来
Gene therapy for liver metastasis treatment
柳衛 宏宣
1
,
江里口 正純
1
Yanagie Hironobu
1
1東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門
キーワード:
遺伝子治療
,
アデノウイルスベクター
,
肝転移
,
非ウイルスベクター
Keyword:
遺伝子治療
,
アデノウイルスベクター
,
肝転移
,
非ウイルスベクター
pp.793-798
発行日 2003年6月20日
Published Date 2003/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101418
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大腸癌の肝転移に対して新しい治療法として遺伝子治療が注目されている.現在までに4つの遺伝子治療が行われているが,いずれもin vivo法でベクターとしてアデノウイルスあるいはリポソームを用いている.(1)p53遺伝子に変異・欠失のある大腸癌の肝転移に対して,正常p53遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクター(SCH58500)を肝動脈内に動注する臨床試験,(2)消化器癌の転移性肝癌に対するE1B55Kを欠いた変異ヒトアデノウイルス(ONYX-015)を用いた肝動注療法遺伝子治療の臨床試験,(3)cytosinedeaminaseを組み込んだ非増殖性アデノウイルスベクター(ADGVCD. 10)を大腸癌患者の肝転移巣に直接注入する臨床試験,(4)allovectin-7(HLA-B7/β2マクログロブリン遺伝子のプラスミドと脂質DOPEとDMRIEを混合したリポソームベクター)を直接エコーガイド下に大腸癌の肝転移巣に注入する臨床試験が進行中である.今後,癌治療において集学的治療法の1つとして遺伝子治療は重要な位置を占めると思われ,安全でかつ使用しやすいベクターの開発が必要となる.
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